雑記帳

チ。 ―地球の運動について― 第4話

2024-12-29 20:00:43
2024-12-29 20:11:08
目次

グラス「好きがいけないわけがない この世に期待しなくなると我々の魂は瞬く間に濁ってしまう 好きとか夢とか希望とか そういうものは捨てちゃダメだ。」
オクジー「期待したら裏切られるのがオチ これが俺の心情です はなから諦めた方が傷が浅くて済む というか そもそも人生って全然楽しいこと起きないじゃないですか この世界で幸福になれるのは生まれた時点でその資格を持ってる一部の人たちだけ 選ばれなかった人が幸せを望むことは全く無駄な行為です この世は終わってる なので希望は天国にしかない 天国最高 天国最高 天国最高 早く行きたい 早く行きたい 早く行きたい。」
グラス「つまり君は この世に永遠とか完璧がないから なにも信頼できないと?」
「確かに この地は汚れていて 無秩序だ 高貴にして完璧なる空には届きもしない しかし私たちにも完璧を見ることはできるではないか 人は完璧を認識できる しかも 太陽と 違い 火星は 直視可能だ この地球は完璧な観測の特等席 そう考えたら人も地球も捨てたものじゃない 今やこれにより この世の全てを肯定できる。」

異端者「教会が本当に君らを救うのか そもそも彼らの言う天国など 本当に存在するのか。」
「君らはこの世の 絶望から目をそらすために あるかもわからぬ天国に逃げてるだけじゃないのか。」
「君らが絶望を突き放しているのだ 2000年前 アテナイの老人が毒盃を煽った惨事から今の哲学が生まれた 1500年前 一人の青年が張り付けにされた無念が今の教会を形作った 人は悲劇を肥やしに 時に新たな希望を生み出す その場しのぎの慰めなんか 現実を変えやしない だが 身から湧き出た苦悩は 煮詰められた挫折は あるいは君の絶望は 希望に転化しうるのだ なのに 君らは絶望に目を塞ぎ 誰かがくれた死後の保証付きの人生を生きている そんな人間に希望などを訪れない。」
「異端か 君がそう呼ばれるものをなぜ恐れるかよくわかるぞ 私のことが理解不能だからではない 逆だ 君自身が心の底では天国を信じきれてないからだ。」
「本当は天国なんかなくて ただ死んで終わりかも そう思っているんだろう。」
「不安になるのはよくわかる 死後の予定が揺らぐのは辛いだろう しかし君は いや人類は正面から向き合うべきだ 麗しの天国なぞ ないのかもしれないということに。」
「だが この星は天国なんかよりも美しいということに 。」
「君だって本当は信じたいだろ この星は生きるに値する素晴らしい何かだと。」
「一生 快適な自己否定にとどまるか 全てを捨てて自己肯定にかけて出るか どちらを選ぶも自由だ さあどうする?」

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ろく