雑記帳

チ。 ―地球の運動について― 第3話

2024-12-29 18:50:07
2024-12-29 18:55:58
目次

ノヴァク「この世で最も肝心な選択とは何を諦めるかだ 君は賢いんだろう 正解を選べるはずだ じゃあ明日 生まれ変わった君に会おう。」

ラファウ「地動説に出会わなければ こんなところにいるはずなかったのに 地動説に出会わなければ今も僕は秀才のままで周囲にはもてはやされて生活は快適で将来を嘱望されて 行く先は 希望に満ちて世界はずっと ちょろいはずで なぜ僕はこんなことを 地動説 なんて 何の意味も。」
「月明かり 前にもこんなことあったっけ あの頃と同じで 僕が天文を続けるのは合理的じゃない あの頃と同じで 空はずっと遠くにある それどころか 窓はあの頃よりも小さいでも でもなぜだ 今はあの頃より はっきりと空がよく見える こんなに美しかったのか。」
「肝心なのは 何を諦めるかだ 正解を選べ 言葉では何とでも言える この局面も何とかなる。」
「宣言します 僕は 地動説を信じてます。」
「敵は手強いですよ あなた方が相手にしてるのは僕じゃない 異端者でもない ある種の想像力であり 好奇心であり 畢竟それは知性だ。」
「それは流行り病のように増殖する 宿主さえ制御不能だ 一組織が手なずけられるほど可愛げのあるものじゃない。」
ノヴァク「では勝つのは君か この選択は君の未来にとって正解だと思うのか。」
ラファウ「そりゃ不正解でしょ でも不正解は無意味を意味しません。」

ラファウ「死の先なんか誰も知りませんよ ソクラテス 曰く 誰も死を味わってないのに誰もが最大の悪であるかのように決めつける エピクロス 曰く 我々のあるところに 死はない 死のあるところに我々はない セネカ 曰く 生は適切に活用すれば十分に長い 僕はその全てに賛成です。」
ノヴァク「そんなの 2000年近くも前の愚かな 異教徒の言葉だろ 奴らには絶対神も救いもない そんな言葉が何になる。」
ラファウ「感動できる。」
「フベルトさんは死んで消えた でもあの人のくれた感動は今も消えない 多分 感動は寿命の長さより大切なものだと思う だからこの場は僕の命に代えてでも この感動を生き残らせる。」
ノヴァク「正気じゃない わけもわからんものに熱中して 命すら投げる そんな状態を 狂気だとは思わないのか?」
ラファウ「確かに でもそんなの 愛とも言えそうです。」

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ろく